生殖年齢の男女が妊娠を希望し、一年間避妊することなく性交渉を行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を「不妊」といい、妊娠を希望し医学的治療を必要とする場合を「不妊症」と定義しています。
妊娠を希望する健常なカップルであれば、3ヶ月以内で約50%が、6ヶ月以内で約70%が、1年以内で約90%近くが妊娠に至るといわれています。
女性の加齢とともに妊娠率は低下します。これは、年齢の上昇に伴う卵子の数の減少と、卵の質の低下が原因です。また、加齢により異常な染色体をもつ卵子も増加するので、流産率も上昇します。
女性の年齢が37歳頃から妊孕能(妊娠しやすさ)が急激に低下してきますので、なかなか妊娠に至らない方は、早目に不妊の検査・治療をお受けになられることをお勧めします。
排卵障害(視床下部性、下垂体性、卵巣性)
多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)
高プロラクチン血症
精神的ストレス、短期間の大幅なダイエット
早発卵巣不全(20、30歳台で卵巣機能が極端に低下し無排卵に陥ること)
クラミジア感染症による卵管周囲癒着、卵管閉塞
子宮内膜症による卵管周囲癒着
子宮筋腫(特に粘膜下筋腫)
子宮内膜ポリープ、Asherman症候群(子宮内腔の癒着による月経血量の減少)
(子宮奇形)
頚管粘液(cervical mucus:CM)分泌不全
抗精子抗体(抗精子不動化抗体)陽性
原因不明
精索静脈瘤
射精障害
勃起不全
一般不妊検査で原因が同定されない場合。
卵pick up障害、受精障害、胚の分割の問題、着床障害など。
不妊治療について、Step up方式で解りやすくご説明致します。
まず一般的な検査を進めながら、自然周期下に超音波検査で排卵日を予想し、性交のタイミングを合わせます。
自然周期では、受精する質の良い卵子が排卵される確率は1周期あたり約25%といわれています。そのため、この自然周期下でのタイミング療法を4周期程度は行って、なるべく自然での妊娠を期待していきます。また、なかなか自然では排卵しにくい場合には排卵誘発剤(内服、注射)を用い、卵胞を育つようにしていきます。
体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)などの生殖補助医療(ART) は、卵管性不妊、男性不妊、免疫性不妊、子宮内膜症、また、タイミング療法やAIHで妊娠に至らなかった原因不明不妊などに対して行われます。
卵胞を複数育て(排卵誘発)、卵子を採取(採卵)し、精子と受精の場を設け(媒精)、できた受精卵を子宮に入れる(胚移植)方法です。